社会主義を経たイスラーム地域のジェンダー・家族・モダニティ―中東イスラーム地域研究との架橋をめざして

代表

和﨑 聖日(中部大学人文学部・講師)

共同研究員

帯谷 知可(京都大学東南アジア地域研究研究所・准教授)、磯貝 真澄(京都外国語大学外国語学部・非常勤講師)、菊田 遙(北海道大学・スラブ・ユーラシア研究センター・助教)、宗野 ふもと(筑波大学・人文社会系・特任研究員)、中村 朋美(関西大学東西学術研究所・非常勤研究員)、藤本 透子(国立民族学博物館民族文化研究部・准教授)、嶺崎 寛子(愛知教育大学教育学部・准教授)、村上 薫(アジア経済研究所地域研究センター・中東研究グループ・主任研究員)、和﨑 聖日(中部大学人文学部・講師)、李 眞恵(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・博士課程)

期間

平成29年4月~平成31年3月

目的

社会主義的近代化のプロセスを経た旧ソ連イスラーム地域(中央アジア、コーカサス、沿ヴォルガ地域など)では、一見、社会主義的男女平等と女性解放が進展し、世俗主義と脱イスラーム化が徹底されたようでありながら、ジェンダーや家族といった領域では価値観や規範の根本的変革はきわめて難しく、皮相的に留まったことが先行研究ですでに明らかになっている。さらにソ連解体後のナショナリズムの高まりとイスラーム復興の多様な形での進行によって、伝統回帰と同時にイスラーム的文脈での新たな現象(例えば伝統的スタイルでない女性のヴェール着用の増加など)も生じている。そこで本研究では、こうしたポスト・ソ連世俗主義国家(その多くは権威主義国家である)でイスラーム復興が進展する状況下におけるジェンダー・家族規範の複雑な実態と変容を、その近現代の歴史的背景にも目配りしながら、読み解き明らかにすること、さらにそれを1990年代以降新たな視点により進展している中東ジェンダー研究の議論と接合し、ジェンダー・家族・モダニティの観点から、多元化・多極化する現代世界に旧ソ連イスラーム地域をどのように位置づけるべきかを検討することを目的とする。

研究実績状況

[平成29年度]
 2017年度はメンバー各自の研究トピックと本研究の目的とのすり合わせと国内・国際研究ネットワークの拡大を意図して、下記のような活動を行った。
[ 研究会 ]
2017年11月25日(稲盛財団記念館小会議室Ⅰ)メンバー各自の研究トピックの確認とブレーンストーミング

[ 共催研究会 ]
① 2017年10月14日(早稲田大学早稲田キャンパス)「現代ムスリム社会における風紀・暴力・統治についての多角的研究」公開研究会(早稲田大学イスラーム地域研究機構平成29年度共同研究) 
② 2017年11月14日(稲盛財団記念館213)Special Seminar: Frontiers of Gender Studies in Asia (京都大学東南アジア地域研究研究所男女共同参画推進委員会主催)

[ CIRASユーラシア・セミナー ]
① 2017年10月23日(稲盛財団記念館213)マラ・グバイドゥリナ(カザフ国立大学)「中央アジアの越境する水資源問題」(ロシア語)
② 2018年1月29日(稲盛財団記念館213)アズィズ・マリコフ(ウズベキスタン歴史学研究所)「中央アジアの『聖なる家系』―トランスローカリティとアイデンティティのバリエーション」(英語)
③ 2018年2月9日(稲盛財団記念館213)カリマン・ウメトバエヴァ(東京芸術大学)「ソ連崩壊後のクルグズ共和国とカザフスタンにおけるアクン技芸」(日本語)

[ 公開ワークショップ ]
2018年2月10日(稲盛財団記念館213)ワークショップ「装いと規範」
 新学術領域研究「グローバル秩序の溶解と新たな危機を超えて―関係性中心の融合型人文社会科学の確立」(「グローバル関係学」、研究代表者:酒井啓子、千葉大学教授)B01班「規範とアイデンティティ」(研究代表者:酒井啓子)との共同で開催。
報告:後藤絵美(東京大学)「ニカーブをまとうまで―現代イスラームにおける『自己選択』の諸相」
帯谷知可(CIRAS)「ルモルとヒジョブの境界―社会主義的世俗主義を経たウズベスタンのイスラーム・ヴェール問題」
野中葉(慶應大学)「インドネシアにおけるハラール化粧品の隆盛と女性たちの美意識」
コメント:粕谷元(日本大学)、和崎聖日(中部大学)
司会:村上薫(アジア経済研究所)

[ ディスカッション・ペーパーの刊行 ]
上記ワークショップの成果をCIRASディスカッション・ペーパーとして2018年3月に刊行した。

[平成30年度]
2018年度は研究期間の最終年度にあたるため、成果報告書としての論文集の刊行準備に主軸を置きつつ、以下の活動を行った。
[研究会]
①2018年7月21日(稲森財団記念館213)コア・メンバー研究会「中央アジア民族誌と映画に見るジェンダー・家族・モダニティ」
②2018年10月6日(稲森財団記念館213)
第1部 研究会
報告: 藤本透子「カザフスタンにおける伝統医療の展開と女性治療者」
村上薫「トルコの名誉殺人と刑法改正」
第2部 中央アジア映画に見るジェンダー・家族・モダニティ
③2018年10月7日(稲森財団記念館213)コア・メンバー研究会「中央アジア民族誌に見るジェンダー・家族・モダニティ」

④2018年11月10日 (稲森財団記念館213)研究会
報告: 帯谷知可「帝政ロシアにおけるムスリム女性をめぐる言説とその共振―アガエフを中心に」
磯貝真澄「ロシア帝国ヴォルガ・ウラル地域のムスリム女性による最初の言論活動-宗務協議会とウラマーの関連から」
菊田悠「なぜ祝宴(トイ)は小さくならないのか―ウズベキスタン、現場の視点から」
宗野ふもと「独立後ウズベキスタンにおける女性の労働―シャフリサブズ『フジュム』芸術製品工場倒産後の状況に着目して」
嶺崎寛子「結婚・離婚・相続をめぐるエジプトの法意識(の変遷)と他国との比較―2000年代を事例として」
⑤2018年11月11日(稲森財団記念館213)コア・メンバー研究会「中央アジア民族誌に見るジェンダー・家族・モダニティ」
⑥2019年2月8日 (稲森財団記念館213)コア・メンバー研究会「中央アジア映画に見るイスラーム・ジェンダー・家族」
⑦2019年2月9日 (稲森財団記念館213)研究会(京都大学稲森財団記念館)
報告: 和﨑聖日「ソ連中後期のウズベキスタンにおける『婚資』の問題―科学的無神論とイスラームの諸潮流」 

[公開ワークショップ]
2019年2月9日 (稲森財団記念館213)ワークショップ「装いと規範」
新学術領域研究「グローバル秩序の溶解と新たな危機を超えて―関係性中心の融合型人文社会科学の確立」(「グローバル関係学」、研究代表者:酒井啓子、千葉大学教授)研究計画B01「規範とアイデンティティ」(研究代表者:酒井啓子)と共同で開催。
報告: 賀川恵理香(京都大学大学院・博士課程)「ヴェールを纏う女性たちの語り―現代パキスタン都市部におけるパルダ実践を事例として」
岡田晃枝(東京大学)「『伝統』を超えて―現代トルクメン女性と民族衣装コイネック」
森理恵(日本女子大学)「近代日本の国家主義・帝国主義とキモノ」
コメント: 酒井啓子、後藤絵美(東京大学)、帯谷知可
司会: 和﨑聖日

[共催研究会・セミナーなど]
①2018年7月8日(東京大学)シンポジウム「記憶と記録からみる女性たちの30年―装いにうつるイスラームとジェンダー」
(科学研究費・基盤A「イスラーム・ジェンダー学の構築のための基礎的総合的研究(「イスラーム・ジェンダー学」科研)×科学研究費・新学術領域研究「グローバル秩序の溶解と新しい危機を超えて―関係性中心の融合型人文社会科学の確立」(「グローバル関係学」科研)企画シンポジウム、共催)
http://www.shd.chiba-u.jp/glblcrss/activities/activities20180802.html
②2018年10月15日(稲森財団記念館213)CIRASユーラシア・セミナー 
Prof. Bakhtiyar Islamov (Tashkent School of Russian Economic University named after G. V. Plekhanov / Tohoku University)
“Post-Karimov Foreign Policy of Uzbekistan”
(京都大学CSEAS環太平洋研究ハブ形成拠点、CIRAS統括プロジェクト企画研究「アジア太平洋地域における変動動態と21世紀秩序の構築」とともに主催)
③2018年11月27日(稲森財団記念館213)Special Seminar: Frontiers of Gender Studies in Asia
Dr. Shanthi Thambiah (Malaya University, Malaysia)
“Gender in Southeast Asia: Fluid, Contested and Negotiable”
(京都大学CSEAS男女共同参画推進委員会とともに主催)

[ディスカッション・ペーパーの刊行]
2019年2月9日開催のワークショップの成果をまとめた帯谷知可・後藤絵美編『装いと規範2』(CIRAS Discussion Paper)、京都大学東南アジア地域研究研究所CIRAS、2019.を刊行予定(2019年3月)。

研究成果の概要

[平成29年度]
 2017年度は、ジェンダー・家族に関連する20世紀的なモダニティとは何であったかを検証し、その結果として旧社会主義圏を含むイスラーム地域で現在生じているグローバルな意味を持つ現象について比較を行うことをめざして、メンバー個々の関心と本研究の成果として想定している論文集編纂を視野に入れながら、まずは「女性解放と男女平等をめぐる言説の歴史的展開」「世俗主義とイスラーム法」「移民とジェンダー・家族規範の変容」という3つのトピックを暫定的に設定し、議論をスタートさせた。19世紀ヨーロッパのイスラーム世界に対する植民地主義的視線は社会主義体制においても変形・強化されながら継続し、現在の権威主義体制でも継承されている側面があること、社会主義のもとでイスラーム法の影響力は国家の法体系からは完全に排除されたが、実態としては人々の間に慣習として残ったものと忘却されたものがあること、2000年代の中央アジアなどでは出稼ぎの増加(男性の不在)に伴い、家族やジェンダーをめぐる規範が一部変化し始めたことなどが明らかになった。また、旧社会主義圏では中東や東南アジアなどに比して近年のジェンダー学の最先端で扱われるトピック(例えばLGBTや生殖医療など)が現地社会において公に議論される余地がほとんどなく、従って研究対象になりにくくなっている実態も認識された。さらに、新学術領域研究「グローバル関係学」との共同のもとに開催したワークショップ「装いと規範」を通じて、上記3つのトピックを横断しながら現代世界の課題に切り込むテーマ設定として女性の装いを取り上げることが有効ではないかとの示唆を得た。

[平成30年度]
 本研究では、「社会主義を経験したイスラーム地域」を、国家と党がほぼ一体化した共産党一党独裁による長期にわたる政治体制のもとで、徹底的な世俗化と科学的無神論のイデオロギーを伴って上からの強力な近代化が行われた地域と位置づけ、旧ソ連中央アジアやヴォルガ・ウラル地域におけるジェンダー・家族・モダニティに関連するトピックを中東イスラーム研究における近年の事例や議論と比較対照しながら、ムスリム女性・男女平等・女性解放をめぐる運動や言説の歴史的展開、結婚・離婚をめぐって変わらないもの・変わりつつあるもの、女性の仕事・職能、法意識とシャリーア(イスラーム法)の位置づけ、名誉暴力、養子縁組、ヴェール着用問題などのトピックを検討してきた。本研究を通じて以下のような知見を得た。
①ソ連体制はロシア・ムスリムが育みはじめていた国外のイスラーム世界との紐帯を遮断し、少なくともソ連の公の空間において社会主義的なモダニティとイスラームは共存できなかった。それゆえ、イスラーム知識人は「近代」の言葉でイスラームを語る経験を欠き、シャリーアもいかなる公的な位置づけも得られなかった。そのことがポスト社会主義の現代のジェンダーや家族に関わる問題に影響を及ぼし続けている。
②グローバルな規模で各地に共通して存在する・生じているように見える現象も、各地域の特殊性と歴史(特に近代化のプロセス)を踏まえて読み解く必要がある。旧ソ連地域ではソ連的・社会主義的なモダニティのあり方に現在も国家・為政者・知識人らが強く影響を受けている側面があり、権威主義体制やイスラーム過激主義の問題と相まって、独自の文脈で社会問題がときにいっそう「問題化」することがある。
③近代化のプロセスとその帰結としての現代の諸問題という見地からは、社会主義を経たイスラーム地域とトルコとの間で共通点の多いことがわかってきた。さらに中東イスラーム地域における政治・経済体制の社会主義との近縁性や、国際関係上のソ連・ロシアとの親近性なども整理する必要がある。
④イスラーム信仰の多様性やシャリーアの浸透の地域差、アラビア語を母語としない人々の信仰とその継承といった観点から、イスラーム地域研究として旧社会主義圏の研究事例を積み重ねることは重要である。社会主義を経験したイスラーム地域に関する、ロシア帝政末期からソ連解体期までの社会・家族生活と信仰実践を対象とする研究の不足の解消が今後の課題である。とりわけ上記の時代における行政的施策を細かく整理したうえで、生活の実態を位置づける作業が求めらる。
 2019年度に本研究の成果として刊行予定の論文集では、第1部から第3部の各部に旧ソ連の事例と中東イスラーム地域の事例を配置し、上記の諸点を反映させる。

公表実績

[平成29年度]
[ 出版 ]
磯貝真澄「ロシアのウラマーとイスラーム教育網に関する試論―19世紀前半まで」、『史林』101(1): 116-149、2018年3月刊行予定。
帯谷知可・後藤絵美編『装いと規範』(CIRASディスカッション・ペーパー)、2018年3月刊行予定。。
村上勇介・帯谷知可編『秩序の砂塵化を超えて―環太平洋パラダイムの可能性』京都大学学術出版会、2017年。
帯谷知可「イスラーム観の違いを克服する―ポスト社会主義、イスラーム復興、権威主義の交錯するウズベキスタンの課題」村上勇介・帯谷知可編『秩序の砂塵化を超えて―環太平洋パラダイムの可能性』京都大学学術出版会、2017年、105-135頁。
帯谷知可「イスラーム・ヴェール今昔」「映画」「建国とナショナリズムの神話」「スクヴェール」「ソ連体制下のウズベキスタンの成立」「多民族国家ウズベキスタン」「ファッション」「歴史的英雄を語り、描く」帯谷知可編『ウズベキスタンを知るための61章』明石書店、2018年3月刊行予定。
菊田悠「職人の世界」「人々のなかのイスラーム」帯谷知可編『ウズベキスタンを知るための61章』明石書店、2018年3月刊行予定。
宗野ふもと「恋愛と結婚」「バザール」帯谷知可編『ウズベキスタンを知るための61章』明石書店、2018年3月刊行予定。
中村朋美「トルキスタン総督府の成立とその統治」帯谷知可編『ウズベキスタンを知るための61章』明石書店、2018年3月刊行予定。
藤本透子「カザフの子育て」『季刊民族学』162: 67-74、2017年。
村上薫「名誉解釈の多様化と暴力―イスタンブルの移住者社会の日常生活をめぐって」『文化人類学』82(3): 328-345、2017年。
李眞恵「ペレストロイカ期におけるコリョ・サラムのアイデンティティ形成」『イスラーム世界研究』10: 177-191、2017年。
和崎聖日「今も息づくイスラーム法」「家族とジェンダー」「祝祭」「農村の1年」帯谷知可編『ウズベキスタンを知るための61章』明石書店、2018年3月刊行予定。

[ 公開ワークショップ ]
2018年2月10日(土)ワークショップ「装いと規範」(詳細は上記の通り)

[ 学会発表 ]
磯貝真澄「ロシア・ムスリムによるイスラーム的学識の継承」2017年度史学研究会例会「学びのネットワーク」、2017年4月15日。
磯貝真澄「19世紀末~20世紀初頭のホラズムにおける権利放棄と婚姻・離婚」第16回中央アジア古文書研究セミナー、2018年3月18日。
磯貝真澄「ヴォルガ・ウラル地域テュルク系ムスリム家族の法社会史研究の試み―19世紀末の婚姻簿から」2017年度日本中央アジア学会年次大会、2018年3月24日(予定)。
和崎聖日「旧ソ連中央アジアのスーフィズムと病気治療―アフマド・ヤサヴィーの現代的意義に寄せて」2017年度日本中央アジア学会年次大会 2018年3月25日(予定)。

[平成30年度]
[出版]
編著書
・帯谷知可『ウズベキスタンを知るための60章』明石書店、2018.
・帯谷知可・後藤絵美編『装いと規範2―更新される伝統とその継承』(CIRAS Discussion Paper No.85)、京都大学東南アジア地域研究研究所、2019、59頁.

論文
・磯貝真澄「帯谷知可編著『社会主義的近代とイスラーム・ジェンダー・家族(1)(CIRAS Discussion Paper No. 69)』(京都大学東南アジア地域研究研究所、2017年)」『法制史研究』68、2019(印刷中).
・ИСОГАЙ, Масуми. Метрические книги как источник для изучения правовых аспектов брака и развода у тюркских мусульман Урало-Поволжья. // Традиционный ислам в России и выдающийся башкирский ученый-теолог просветитель мусульманского мира, шейх Зайнулла Расулев. Уфа: ИИЯЛ УФИЦ РАН, 2018. С. 135-137.
・帯谷知可「帝政ロシアにおける『イスラームにおける男女平等』言説の共振―A. アガエフの著作を中心に―」野田仁・島田志津夫・小松久男編『近代中央ユーラシア史論集』東京大学出版会、2019(印刷中).
・藤本透子「社会再編のなかのイスラーム―地域における生き方の模索」宇山智彦・樋渡雅人編『現代中央アジア―政治・経済・社会』日本評論社、2018、209-230頁.
・嶺崎寛子「ムスリムとは誰か―ムスリムの周縁をめぐる試論」『お茶の水史学』62、2019(印刷中).
分担執筆等
・帯谷知可「多民族国家ウズベキスタン」帯谷知可編『ウズベキスタンを知るための60章』明石書店、2018、28-32頁 .
・帯谷知可「ソ連体制下のウズベキスタンの成立」帯谷知可編『ウズベキスタンを知るための60章』明石書店、2018、90-94頁.
・帯谷知可「歴史的英雄を語り、描く」帯谷知可編『ウズベキスタンを知るための60章』明石書店、2018、112-116頁.
・帯谷知可「イスラーム・ヴェール今昔」帯谷知可編『ウズベキスタンを知るための60章』明石書店、2018、185-189頁.
・帯谷知可「ファッション」帯谷知可編『ウズベキスタンを知るための60章』明石書店、2018、211-215頁.
・帯谷知可「映画」帯谷知可編『ウズベキスタンを知るための60章』明石書店、2018、256-260頁.
・帯谷知可「建国とナショナリズムの神話」帯谷知可編『ウズベキスタンを知るための60章』明石書店、2018、290-293頁.
・菊田悠「職人の世界―陶業」帯谷知可『ウズベキスタンを知るための60章』明石書店、2018、181-184頁 .
・菊田悠「人々のなかのイスラーム」帯谷知可『ウズベキスタンを知るための60章』明石書店、2018、165-169頁 .
・宗野ふもと「バザール」帯谷知可『ウズベキスタンを知るための60章』明石書店2018、150-154頁 .
・宗野ふもと「結婚・恋愛」帯谷知可『ウズベキスタンを知るための60章』明石書店、2018、206-210頁 .
・中村朋美「トルキスタン総督府の成立とその統治」帯谷知可『ウズベキスタンを知るための60章』明石書店、2018、80-84頁 .
・Fujimoto, Toko, “Childcare Practices: Health and Happiness for the Little Ones,” National Museum of Ethnology: Exhibition Guide, Osaka: National Museum of Ethnology, pp.202-205.
・和﨑聖日「今も息づくイスラーム法―世俗国家の中の宗教」帯谷知可編『ウズベキスタンを知るための60章』明石書店、170-175頁.
・和﨑聖日「家族とジェンダー―名誉と恥のゆくえ」帯谷知可編『ウズベキスタンを知るための60章』明石書店、128-133頁.
・和﨑聖日「農村の1年」帯谷知可編『ウズベキスタンを知るための60章』明石書店、134-139頁.
・和﨑聖日「祝祭と儀礼」帯谷知可編『ウズベキスタンを知るための60章』明石書店、145-149頁.
・和﨑聖日「伝統遊戯とスポーツ」帯谷知可編『ウズベキスタンを知るための60章』明石書店、271-277頁.

訳書
・ライラ・アブーと=ルゴド、鳥山純子・嶺崎寛子訳『ムスリム女性に救援は必要か』書肆心水、2018.

[公開シンポジウム・学会などにおける口頭報告]
・磯貝真澄「ロシア帝国ヴォルガ・ウラル地域のムスリムの婚姻簿-法社会史研究の試み」(第11回近代中央ユーラシア比較法制度史研究会、ペガサート・静岡市産学交流センター、2018年11月24日)。
・ИСОГАЙ, Масуми, “Исламиское семейное и наследственное право в Поволжье и Приуралье Российской империи.” (The 9th East Asian Conference on Slavic Eurasian Studies, Ulaanbaatar: The National University of Mongolia, July 1, 2018.)
・帯谷知可「ウズベキスタンにおける女性の装いをめぐる30年」(「イスラーム・ジェンダー学」科研×「グローバル関係学」企画シンポジウム「記憶と記録からみる女性たちの30年―装いにうつるイスラームとジェンダー」、東京大学、2018年7月8日)
・Obiya, Chika, ”National Delimitation of Central Asia in the New National History of Uzbekistan”(早稲田大学イスラーム地域研究機構国際シンポジウム Comparative Studies of Islamic Areas: New Actors, Fresh Angles, Session 5. National Historiography Reconsidered: Challenges for the Modern History of Central Asia, Waseda University, 30 September, 2018.)
・帯谷知可「イスラーム・ヴェール着用問題から考える中央アジアの現在・過去・未来」(京都大学附置研・センターシンポジウム「京都からの挑戦―地球社会の調和ある共存に向けて」、えんてつホール(浜松市)、2019年3月9日)
・菊田悠「トイ(祝宴)縮小法案に見るウズベキスタンのモダニティとジェンダー」(北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター研究員セミナー、北海道大学、2018年11月30日)
・Murakami, Kaoru, “Reconsidering Honor: Everyday Violence and Social Position among migrants in Istanbul.” (Panel: Challenges of Ethnography of Identity and Social Position in the Middle East: Going beyond Categories from Within, World Congress for Middle Eastern Studies Seville 2018, 20 July 2018.)
・和﨑聖日「ソヴィエト・ウズベキスタンにおける『婚資』の問題―体制派とイスラームの諸潮流―」(第11回「近代中央ユーラシア比較法制度史研究会」、ペガサート・静岡市産学交流センター、2018年11月24日)
・和﨑聖日「ウズベキスタンにおける『風紀』形成の過程―旧ソ連・世俗国家の中のジェンダーとセックス、イスラーム」科研・基盤研究(B)「現代ムスリム社会における風紀・暴力・統治に関する地域横断的研究」2018年度第1回研究会、東京大学東洋文化研究所、2018年7月28日)
・李眞恵「現代カザフスタン・コリョ・サラムのアイデンティティ形成」(科研・新学術領域研究「グローバル関係学」第2回若手研究者報告会、京都大学、2018年12月9日)

[学会分科会・ワークショップ等の組織]
①シンポジウム「記憶と記録からみる女性たちの30年―装いにうつるイスラームとジェンダー(「イスラーム・ジェンダー学」科研×「グローバル関係学」企画、東京大学、2018年7月8日、共催)
http://www.shd.chiba-u.jp/glblcrss/activities/activities20180802.html
②CIRASユーラシア・セミナー「ポスト・カリモフ時代のウズベキスタンの外交政策」(京都大学、2018年10月15日、主催)
③ワークショップ「装いと規範」(京都大学、2019年2月9日、主催)https://kyoto.cseas.kyotou.ac.jp/2019/02/20190209/

研究成果公表計画, 今後の展開等

[平成29年度]
 本研究では研究成果として論文集の刊行を目指しており、研究期間が終了する平成31年3月までにメンバー各自が原稿執筆を終えることを目標としている。そのため、設定している「女性解放と男女平等をめぐる言説の歴史的展開」「世俗主義とイスラーム法」「移民とジェンダー・家族規範の変容」という3つのトピックにそった形で、社会主義を経験したイスラーム地域とそれ以外のイスラーム地域の事例を各メンバーが提示しつつ、それらが持つグローバルな意味や相互の連関・比較などについて議論を深め、執筆に反映させることに重点を置いた研究会を2回実施する。
 同時にCIRASユーラシア・セミナーの開催、CIRAS環太平洋研究ハブや新学術領域研究「グローバル関係学」との共同と研究ネットワークの拡大に努め、それをベースに科学研究費の申請を行い、研究の発展を図りたい。また、そのネットワークを活用して、今年度開催したワークショップ「装いと規範」の続編を開催し、その成果をディスカッション・ペーパーとして刊行する予定である。

[平成30年度]
①本研究の研究成果として、論文集の刊行を予定している。2019年3月末締切でメンバー各自からの原稿提出を受け、その後編集作業を経て、2019年度中の刊行を目指す。現時点での企画案は、帯谷知可・和崎聖日編『社会主義を経たイスラーム地域のジェンダー・家族・モダニティ』(仮題)とし、第1部「女性解放をめぐる言説と活動の共振」、第2部「女性の暮らしとなりわい―社会主義からポスト社会主義へ」、第3部「『伝統』と現代の法」により構成する。
②本研究を発展的に継承するものとして、2019年度科学研究費への応募を目指す。
③ワークショップ「装いと規範」はグローバル関係学B01において次年度も継続開催し、さらに多くの地域の事例に関する報告を積み重ね、特に現在グローバルな展開を見せているともいえるヴェール着用問題やイスラーム・ファッションの地域間比較から現代世界におけるナショナルな規範とイスラーム的規範の融合や相剋の諸相を読み解いていきたい。

 

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