報告:第3回「ミクロヒストリーから照射する越境・葛藤の共生の動態に関する比較研究」研究会

タイトル

第3回「ミクロヒストリーから照射する越境・葛藤の共生の動態に関する比較研究」研究会

ユニット名

ミクロヒストリーから照射する越境・葛藤の共生の動態に関する比較研究

代表者

王柳蘭(同志社大学)

開催日

2018年1月13日(土)

開催地

同志社大学 志高館

概要

【日時】2018年1月13日11:30~17:00
【発表】
11:45~13:00 飯田玲子 「周縁化された人々の/による歴史―インド・マハーラーシュトラ州の大衆芸能タマーシャーの担い手たちの生活世界からの検討」 
   
14:00~15:30 瀬戸徐映里奈「在日ベトナム青年にとっての『本国』経験—2010年代を日本とベトナムで生きる若者世代のライフコース選択」 
15:30~17:30 出版の方向性、ワークショップ開催などについて

【概要】
本共同研究は、複数の国民国家、政治権力の緩衝地帯、境界地域となってきた地域やそこでの生活を経験した人々、多民族社会における越境者の歴史的経験のダイナミズムと地域社会への多面的インパクトを掘り下げ、一国史や帝国主義史観、支配的語りによる「他者観」を相対化することを目的としている。
今回の研究会では、19世紀末から20世紀初頭のインドにおいて、イギリス植民地政府によって施行されたCriminal Tribes Actと、それに指定された人々の子孫の現在の語りと生存戦略に関する研究報告(飯田)および、難民として渡日したベトナム人の次世代がベトナム本国へ仕事や留学などを通して移住する事象をとりあげ、難民の「本国帰還」がどのような社会背景や個々人の動機によって行われたのかについての研究報告を行った(瀬戸徐)。
飯田の発表に対しては、カーストおよび、ジャーティー概念の複雑さや歴史的背景に関心が集まった。また、土地を持たずに漂泊し、常に「越境」しつづける人々と、移動研究がこれまで考えてきた「越境」の考え方に関する議論も出た。また、瀬戸徐の発表に関しては、ベトナム難民の若者世代によって、難民にとっての「本国」や「帰還」というものをどのように捉えるのか、その用語がこの事象を捉えることに妥当であるかについて議論が行われた。また、生年やジェンダーによって、ベトナムへの移住の目的や経緯も異なっており、その差異についても関心が集まった。総合討論では、ミクロヒストリーの概念について、さらなる整理が行われ、また、出版に際しては、「越境」というものを単なる物理的な移動に留まらず、階層などの移動も含めたものとして捉えるべきかどうかについて議論が行われた。

飯田玲子「周縁化された人々の/による歴史—インド・マハーラーシュトラ週の大衆芸能タマーシャーの担い手たちの生活世界からの検討」
瀬戸徐映里奈「在日ベトナム青年にとっての『本国』経験—2010年代を日本とベトナムで生きる若者世代のライフコース選択」
王柳蘭:総合討論 および「図書出版に関する打合せ」

飯田玲子(京都大学)瀬戸徐映里奈(京都大学)

   

 

 

第3回「ミクロヒストリーから照射する越境・葛藤の共生の動態に関する比較研究」

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