報告:第2回ミクロヒストリーから照射する越境・葛藤と共生の動態に関する比較研究研究会

タイトル

第2回「ミクロヒストリーから照射する越境・葛藤の共生の動態に関する比較研究」研究会

ユニット名

ミクロヒストリーから照射する越境・葛藤の共生の動態に関する比較研究

代表者

王柳蘭(同志社大学)

開催日

2018年6月30日(土)

開催地

同志社大学今出川キャンパス良心館

概要

藤本透子「国家体制の移行のなかでの人の移動と地域社会の再編―沖縄・座間味島の事例を中心として」
国際秩序という大きな政治的枠組みの変化を人々がどのように生きてきたのか、ミクロヒストリーという微視的視点から明らかにする目的で、沖縄・座間味島を中心に、A)個々の移動史と、B)移動した人々を含めて社会が再編されていく過程を分析した。中国福建から琉球に渡った蔡氏の一部は、座間味島に土着化して「大翁長」を名乗り、船乗りや漁業者として中国・日本・南洋諸島まで広く海を活用しながら国家体制の変化を生き抜いてきた。現在ではその子孫の多くが座間味島から沖縄本島や本州へ移住する一方で、観光業の発展とともに本州から座間味島の移住者が増加し、地域社会の再編が模索されている。この事例をもとに、数世紀に及ぶ移住の歴史性、離島の特性、移民の生業の持続と変容、生活戦略と土着化などについて議論が進んだ。

 

紺屋あかり「近代パラオにおけるインターマリッジとバーチャル化する村落社会」
ミクロネシアのパラオを対象に、移動や複数島嶼国間生活の状況がもたらすパラオの新しい家族像を明らかにすことを目的として、アメリカ信託統治領期(1914-1994)以降のインターマリッジの事例を検証した。その際、首長制に規範化される出自集団との関係性からソフトに脱却するという人々の生活戦略と、国内外の移動やインターマリッジによってバーチャル化する今日の村落社会の状況を分析した。この事例をもとに、母系社会パラオにおける
婚姻のあり方やその変容、それに伴う「家族」的規範、移動を選択しなかった人々による国内での生活戦略などについて議論が進んだ。

 

 このほか、成果発表に向けての討議を行なった。

 

藤本透子(国立民族学博物館)、紺屋あかり(お茶の水女子大学)

第2回ミクロヒストリー

 

「ミクロヒストリーから照射する越境・葛藤の共生の動態に関する比較研究」第2回研究会

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